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しかられて(仮)



今日の僕は
なんにもなかった
だから僕は
からっぽのままだった

たばこをふかしに屋上へ
いつもより遠くの街灯が
はかなく小さく
ジオラマのように感じられた

誰も押してくれなかった背中は
誰も押してはくれないままで
ただやすらかに
トンととぶことができた

おどろくべき速度で落下して
心臓はまだ屋上に置いてけぼりのようだった
それでも体は宙に浮いて留まった
確認したところ僕には翼ははえていない

約束の日に
君に伝えたい気持ちがさだまった


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月で曲が書ける時




僕はそっと煙草を吹かしに窓の外
君は黙って付いて来て
三月最後の月の灯りで
髪を洗う横顔が画になった

ああ
なにごともなき

明日も一日
何事もなき

僕は注意深く
目に見えない程小さく笑った

そして捧ぐは
視界の闇に負けない程の深い深い祈り

その訳は
深い闇に呑まれてしまったからだろう

この祈りは
ただ深い
何にという訳でない
ひとつの祈りはただ深い


詩人と子供は月をピカピカと云うだろう




月はピカピカしていた

それはいつだっただろう
彼の周りにいた人は
彼が本気でそう言うものだから
魂を削ってピカピカだと説くものだから
その時確かに
月はピカピカしていた

君はきっと
初めて満月を見た時だった
月はピカピカしていた

今宵の君はきっと
忘れてしまっていたり
感じる事ができなくなってしまっている
月はピカピカしていた

多くの大人は
また現代を必死に生き延びる人らは
月はピカピカしていた
そんなことを口にする人を
ちゃんちゃら可笑しいだとか
やれ拙いだとか
なんだよ電球じゃあるまいし
なんて顔して莫迦にする

それはきっと
恒星がなんだとか
それは反射光に過ぎないのだ
などと宣った莫迦が
大昔にいたからだろう

月が夜空を照らすあかりたれないのならば
君の泪は何によって乾かされようか
月が夜空を照らすあかりたれないのならば
もはや科学なんて
優しい真面目君が癒してくれるだけの老賢者

文字も観念もない
因果関係をも手放したその体で
暗い一人を生きた時
君の眼には確かに
月はピカピカしていた


その物語に救いがあるということ




真っ白なノートを開いたとき
まっしろだ!
そう思ったよ
そう思って、固まってしまったんだ

真っ白なノートを開いたとき
まっしろだ!
そう思って、僕の好きなふうに描いたんだ
それを思い出した


もうだめだ
それができなくなってしまった
僕の絵は、ノートの白を汚すだけ
取り返しのつかないノートを作るだけ

それだから
郵便受けの、ゴミ同然を
人目気にして持ち帰り
申し訳程度 描き殴る

すっかり怖くなってしまったな、とか
今までごめんなさい、とか
そんなことを
繰り返し 呟いて


いつしか僕は
ゴミ置き場に足繁く通ったり
そんなぼろを求めて
お金を出すようになっていた

好きに描ける
好きに描ける!
心が躍るんだ

あれ
ずいぶん手が汚いな
ああ、そうだよな
いつか綺麗に落ちる汚れかな

やがて僕の手は
ぼろを汚す黒になっていたよ


夜の海は それは暗くて
隠した手 すすぐのに 丁度よかった

どこまで海だかわからなかった
どこまで汚れかわからなかった
だから
波を感じて 一歩一歩
顔まで浸かってみたんだよ

じゃぶじゃぶじゃぶ
じゃぶじゃぶじゃぶ
ふと気が付いて 手が止まる
誰かが隣にやってきた

こんばんは
からだをあらいに うみまできたというのに
あなたのせいで うみが まっくろじゃない
どうしてくれるの?

僕のせいじゃないよ
夜だから海が真っ黒に見えるんだ
海は綺麗だよ わかるかい?
いくら僕が汚れていても それは揺るがない

あら そうかしら
わたしには きらきらと かがやいてみえるわ
それはそうとね わたしがいいたいのは
あなたがわたしに どうしてくれるの っていうこと

これ以上汚さないように
海から出て行ってやりたいが
あいにく僕の身体は汚れすぎていて
君の側を通るのもなんなんだ

かわりに近くの川を教えるから
そっちに行ってはくれないか

どうして そんな めんどうを
わたしがこうむらないと いけないのかしら

わかったよ、僕が海から出て行くよ
ただし僕はうんと醜いんだ
僕の足音が聞こえなくなるまで
目を閉じていてほしい

だきしめて

だきしめて?

その きれいな てで
わたしを だいて
なでて
わたしを きれいに してほしいの

何を言っているんだ?
僕の手はな、

もう いいから

そのまま、だきしめて

そう
ありがとう
わたしのほうが うんとよごれているの
むかし すきなひとが いてね
そのせいなの
でも
もう きれいになったわ
あなたもよごれていたみたいだけど
すっかりきれいになったわね
こんな うみ
はやくでましょう

僕は彼女に手を引かれ
ジャラジャラ浜辺を踏みしめた

波打ち際では無数の蚯蚓が海に染み出た僕の黒を貪り生き生きと乱舞していた



物語の要らない世界



人は心を持って生まれて
僕は人
人として生まれたわけだから
僕は時に
時に非道いけれど
君だって利用してしまう

だって人は 心を動かすために
心臓が付いている生き物なのだから

ああ
これまでの たくさんの 君
僕と出会うことになってしまって
ほんとうに ごめんね



心が動くのは何故だろう
プラスにでも マイナスにでもいいんだ
きっとこの仮説は的を射ているんだろうね
僕は二人称をなくす映画を貪るように観てきた

だとしたら
手っ取り早く 心を動かしたかったと窺える
だとしたら
人の死とはそんなに陳腐なものかと諫められる

ほんとうに 結ばれたことがないから
別れの涙しか知らないだけ
でも 僕にとっては
死とはなんとも綺麗な物語なんだ

ああ
今 君と出逢いたい
今 ほんとうに結ばれたい

物語の要らない世界で
どうかお願いだ
僕のヒロインになってほしい


平行世界の四季




恋に気づいてお腹が空いて
恋に満たされお腹がいっぱい
恋に飽きらばお腹が空いて
恋が終わればお腹がいっぱい

あぁ、あ
詩でも書いとったんなら
人と繋がっておれるんかな
繋がっておれる人がおるんかな

パラレルワールドに遊びに来てよ
君は、僕で、君は今、すべて解放されている

あの人とはすれ違うことなく、
どこまでも運命の人だったよ

恥と辛酸と修練の輪廻から
解脱できないと悟っていた
君の選んだ仕事は
のんびりとした田舎に佇む
ひなびた温泉旅館と共にあるよ

だから大丈夫
君は幸せだ

ほんなら、
詩、書くで
まだここにおるよ
ほんで、
お腹空かせてくれる人探すよ



(対・冬旬母性)




夢在リテ
勉学ノヲト
認(したた)メテ
心重ネタ冬蜂ハ
母ノ胸
埋(うず)メテネンネノ子守唄

勘違イ

蟷螂(かまきり)ノ
最期ノ冗談
随(まにま)ニト
聴カセテ貰ツタ訳デシタ