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水晶玉


白馬の王子
確かに夢見た
雪色肌の乙女とて
酒より先に酔うだろう
煙草の味のそのキスに

得られたはずの
完全勝利
あとは私が
負けた振りさえ
出来ていたのなら

何故残る
心に在るは
優しい気持ち

何故残る
瞼閉じれば今も尚
泪の溜まった女の眼

嗚呼、何故ゆえにこの風は
薄い雲をば携えて
満月の
煙草の邪魔をするのだろう

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月で曲が書ける時




僕はそっと煙草を吹かしに窓の外
君は黙って付いて来て
三月最後の月の灯りで
髪を洗う横顔が画になった

ああ
なにごともなき

明日も一日
何事もなき

僕は注意深く
目に見えない程小さく笑った

そして捧ぐは
視界の闇に負けない程の深い深い祈り

その訳は
深い闇に呑まれてしまったからだろう

この祈りは
ただ深い
何にという訳でない
ひとつの祈りはただ深い


パンダの眼鏡




ここにいる

ここにいるとしか
言わないよ



それはね。

あたながここから
安心して離れていけるように



それはね。

あなたにみつけてほしいから






探して?

そこから、探して。



青く眩い雪のように
私が確かに大事に想った
優しいあかりがあるでしょう



それはね、

一緒に灯したの

あなたの氷の洞穴で

震えたかぼそい迷子のために



一緒に灯した
離れていけるように
みつけて
あなたのこころに

そこからみつけて
ここにいるから
見守っているから
あなたのこころ



九月一日



――もっと強い人だと思っていたのに
うぶな失望吐き捨てて
私はあなたを置いてけぼりに
ひなびた町を出ていった


自分の弱さ
棚に上げて


――この夏はひとりきりで過ごしたのだよ
九月の風が一息に
教えてくれて消えたから

小さな私
背伸びできるようになったよ
棚の上のそのために


やぎのえさ



丸めちまったネクタイを
ぽっけのなかでにぎりしめ
オリオン座の空 足早に

きみには電話の贈り物
ぼくにはポストに山羊の餌



「山羊の丘 遠いね おそろいの写真 ほしいね」

ぼくのぽっけに
きみのやさしさつめられた



丸めちまったネクタイの
つもりでにぎったやさしさを

ひろげて
飛ばして
風よ吹け

旅路のとちゅう 足早に

変わらずに




空を見ていて
はて、どういうことか
一人だったと気付く

近づいて
重なって
流れて

青い空と
白い雲

動かせないほど
大きな大きな白い雲
ずずず、と動いている




遠いね
でもね
理科で習ったような
途方もない距離とは思えない

不思議だな
きっとずっとジャンプできれば
手が届くんじゃないかと思うんだ

青い空と
白い雲

でも
やっぱり遠いのかな
なかなかピントが合わないや




あの雲は、遠くにいっちゃった・・・
遠くにいっちゃったけど、
もしかしたら最初から
手の届かないところにあったものなのかな

離れてしまってわかる距離なんて
微々たるものと考えると
なんだかやりきれないなあ

青い空と
白い雲

白い雲
影と重ねる
懐かしさ


高校生の呪縛



思い出せへん 思い出せへん
深く傷を負った日 きっとどこかにあったはず
たぶん死んだ時も あったんやろな


思い出せそうな感じ してるんやけどな
誰か助けてや あと少しやねん
誰かわからんけど おってくれたら おってくれるだけで
すっと入ってきて 元通りの自分になれそうな人が
どっかにおる気がするねん


笑顔で閉じこめてはる人
なんか気になる
呪われてはるんやろか
自分には関係ないけど


たった一人にしか届かへん
泣き方ができたらええんよ
すればええんよ

たった一人にしか届かへん
泣き方しかできんようになってまうんよ

呪いが解けたとき
きっと

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