エリクソンの恋

母さんが作ったのはからだで
父さんが作ったのはこころだった
それらはひとつになって僕になった

いつからか僕を作る僕がいた
考えている僕は作られている僕
考えている僕は作っている僕
気がつけばどっちがこの僕か
わからなくなっていた

そんな果てにもう一度会った
父さんと母さん
僕に寄りかかってきた
重いのか軽いのかもわからないほどに
つらかった

それでも何が重くて何が軽いかは
はっきりとわかった

軽くなった母さんのからだと
重くなった母さんのこころ
軽くなった父さんのこころと
重くなった父さんのからだ

僕に寄りかかってきた
それがわかった

大人になるとはこういうことだ
僕を作っていた僕が言った
大人になりたくてこうなったんだ
僕を作っていた僕を作った僕が言った

それらはひとつになって僕になった